日本型成果主義の構築
(2) 日本型成果主義の要件
@ 人間基準であることを前提とし、そのためには職能資格制度を改革し、
これを基軸としたシステムとすること
A 能力主義を基軸にして成果主義と併用し、
両者の接合により納特性の高い処遇システムを構築すること
B 生涯労働前半の成長期は能力主義に重点を置き、
後半の成熟期は成果主義に重点を置いて能力主義と成果主義の調和を図ること
C 裁量度の高い管理専門職層は実力と意思、
適正により配置、役割を決定し、個々人の能力と職務の連結を図ること
D 実力を評価するシステムおよび成果の達成度と貢献度を評価するシステムを整備して、
社員満足の充実を図ること
能力主義と成果主義の調和のあり方は、生涯労働の前半(成長期)
は能力主義の重点を置き、後半(成熟期)は成果主義に重点を置くという形で相互補完し合う形となる。
大地にしっかりと根を張り、地上に大きな幹を天高く伸ばしていく。
この根と幹の成長が能力主義である。
次いでしっかりと枝(役割)を伸ばし、葉をつけ花をつけ(業績)、やがて大きな美味しい果実(成果)を実らせる。
短期的な成果を追うのではなく、長期の成果を追い続けるには、土台となる能力主義が確固たるものでなければならない。
人材の育成つまり人間を出発点とする成果主義こそが、人間の顔をした日本型成果主義の要件であるといえる。
人間基準で成果主義を導入していくには、人と仕事の結びつけ方が問題となる。
実力や当人の意思や適性に応じて配置や役割設定を行ってこそ、業績や成果を問うことができる。
能力(社員としての蓄積能力)と実力(現に成果を挙げ得る能力、つまり時価)とは、
高齢化、構造変革が進む今日においては必ずしも一致しない。能力の陳腐化、体力、気力の低下、行動特性の劣化など
があるからである。
能力は「〜ができる」だが、実力は「〜している」というように、実証的能力(公正化実現行動特性=Competency)といえる。
組織の活力を高めていくには、チャレンジを高く評価し、個を重んずる加点主義人事を進めることが大切である。
そのためには公募制度、自己申告制度、目標面接制度等の諸制度の整備が不可欠である。