日本型成果主義の構築
5. 業績評価制度と目標面接制度の整備
(1)目標面接制度整備の必要性
上司と本人の目標面接を通じて、個々の職位・職責に相応しくかつ本人のチャレンジを加味した目標、
すなわち役割が確定する。
役割の遂行結果で達成度が決まり、これが本人の業績ということになる。
この業績により昇進・降職や処遇等が行われるなら、業績評価の透明性、納得性が大変に重要となってくる。
個々人の業績を重視し、貢献に応じて処遇に大きな格差をつけていく場合、業績の的確な把握
評価に対する社員の納得性、信頼性を得ることがこれまで以上に重要になる。
個人業績の把握・評価の方法としては、目標の設定→目標の達成度評価を基本とした目標面接制度にもとづいて行うことが、
社員の業績志向や納得性を高め、個人目標と部門・会社目標の一体化を図る上で最も適しているといえる。
(2)目標面接制度の整備・充実
-1- 目標の設定
各管理・専門職は、会社目標、部門目標や上司の期待目標を受けて、
まず本人が自らの職位・職責に相応しく、かつ部門の業績に影響する
重要度の高い挑戦的な課題および課題解決のための具体的行動計画を主要目標として掲げる。
目標面接を通じて上司との十分な擦り合わせを行った上で目標を確定することになる。
各職位で果たすべき本来の業務と上司の期待目標に、本人のチャレンジ部分を加えたもの
役割となる人は組織貢献を目指して、
今後1年間全力を挙げてこの役割の達成に取り組んでいく。
目標設定に当たってのポイントは以下のとおりである。
@各職位(職責)に期待される本来の役割が明確化されていること
A目標が全体最適を目指し、会社→部門→個人の形で連鎖していること
B中期目標も意識し、的確に単年度目標に分解し落とし込まれていること(部下育成なども含めて)
C改善、拡大、革新等の本人のチャレンジを盛り込んだ目標であること
D本人と上司による目標面接を通じての十分な話し合い、調整、両者の合意のもとでの目標の設定であること
-2- 難易度の評価
業績評価の納得性を高める上で、目標の難易度は、次の二つの基準により事前に評価しておくことが大切である。
@職責基準(本人が位置づけられている職責区分との相対的位置)
A調整会議(役員等による)による調整事例の積み重ねの中で整備されていく判断基準(判例)、
さらに、本人が目標の設定に当たりチャレンジの部分を加えた場合は、これも含めて評価しておく必要がある。
-3- 目標(役割)達成度の評価と貢献度評価
期末あるいは年度末に目標(役割)の達成度が評価される。
職責の大きさとチャレンジの度合いを加えたところの役割に、達成度を乗じたものが業績となる。
役割(職責+チャレンジ)× 達成度 = 業績
成果主義のもとでは、目標を達成した結果、どれだけ会社に貢献したかが最も重要となる。
目標の達成度は絶対評価であるが、これだけでは必ずしも充分ではなく、会社貢献度という観点から、
個々人の達成した目標の価値を全社的に確認・評価(相対評価による価値の序列づけ)することも必要となる。
-4- 評価結果の活用
業績評価の結果は賞与の決定に反映される。
業績評価とコンピテンシー(発揮能力・行動)評価の結果とを総合した評価は、昇格、
賃金決定、配置(職責、職位)、育成などに反映される。